牧野工務店の寺社建築

2021年3月24日
牧野工務店の寺社建築
– ABOUT –
1 – 3D図面の活用
従来の建築の設計は2次元の図面により計画・検討されています。しかし、2次元では納まっていた部分が実際の建物が形になると不 具合があったり、望んでいたプロポーションと違うことが多々あります。特に寺社建築の屋根の軒の反りや瓦のラインは僅かな寸法の 違いで美しさが大きく異なります。また、人間の視覚には錯覚が有りますので、同じ特性の反りでも建物の大きさが変われば、目線の 高さ等の条件が変わることで印象の全く違う建物になってしまいます。牧野工務店では3Dの図面を活用して軒反りなど意匠的な美しさ の検討や、各部材の納まりや機能性の検証を行い、綿密な計画を立てることにより、希望どおりの建築を実現することが可能です。また修理過程工事においては、3D図面を作成し施主様へのご説明に使用することにより、一般の方ではわかりづらい寺社建築の構造や修理前の破損状況をわかりやすく表現できるので、修理工事の内容や見積内容の根拠がはっきりします。そのため、作業内容や見積金額に充分納得したうえで、安心してご契約していただけます。
2 – 本格的な寺社建築の技術
店主 牧野泰太は小川三夫棟梁の率いる鵤工舎で寺社建築の修業をさせていただき、主に新築工事の経験を積み重ね、地元の香川に帰ってからは、出雲大社をはじめとする数多くの文化財建造の保存修理工事に参加して、公益財団法人文化財建造物保存協会の木工技能者に認定していただき、国指定の重要文化財の主任技術者をつとめています。
3 – 原木仕入れ
鵤工舎の口伝に
一、伽藍造営の溶剤は木を買わず山を買へ
二、山の木は育成の包囲のまま使へ
三、木組みは寸法で組まずに木の性癖を組め
という教えがあります。
木にはそれぞれ性質や癖が有り、それはその木がどんな環境で育ったかによって違ってきます。その木の持つ癖を読み取り、適材適所 でその木に一番相応しい部材になってもらうのが良いという教えです。現代の建築材料は規格の寸法に製材されてから我々大工のもとに納入されます。その状態ではその木がどんな環境で育ったかを推測するための情報が少なく、癖を読み取ることが困難です。当店では工事に使用する材料全てを原木や立ち木の状態でそろえることはできませんが、特に屋根の材料などの反りを造りだす材料は 山に入って立ち木を買い付けたり、原木市場で木の肌や年輪・色味を自分で吟味して原木を仕入れています。そうすることにより、その木がどんな環境でどのように風雪に耐えながら命を育んで来たかを想像しながら、どの部材になって、どのように建物を支えてもらうかを決めることができます。

– 先人の心を後世に –
先人の方々が残してくださった建築技術だけではなく、木に対する思いや建物を建立する情熱や悲願の思いも後世に伝えたいと思い、時代にそぐわないと言われることもありますが、手間暇をかけて原木からの木取りを行っています。